こんにちは!うつ専門メンタルケアコーチの鳥越です。
うつ病には急性期、回復期、維持期の3ステップがあります。今日はその3つの期に合わせた行動についてお話しします。
因みに私は回復期の途中で焦りから無理をしてしまい、再び急性期(症状が重く辛い時期)に戻った経験があります。折角頑張って治療し良くなってきていたのも水の泡となり希望が見えてきたところで打ちのめされた!のです。
なので、やはり状況に合わせた行動が大事!!また、辛い時期に戻るなんて絶対嫌ですよね。なので、今回の記事を読みうつ病完治までまっすぐゴールして頂きたいと思います。
1、うつ病の全体像

引用:新宿ストレスクリニック
発症してからしばらくの間は症状が重い為辛い期間です。この時期を急性期といいます。そしてこの時期は辛い為何も出来ないといったこともあります。ですが、辛いのですからそれは当たり前です。
では、次は回復期(継続期)です。この時期は治療や休息により少し状態が良くなってきている時期です。ですが、そろそろ職場復帰しなきゃと考えだし、焦りが出てくる時期にもなります。
この時期がうつ病を完治出来るか左右される時期とも言えるでしょう。この時期のPOINTについては後程お話しします。
最後に維持期ですね。維持期は大分症状が落ち着き元の生活に戻ってこれている時期です。少しずつ社会復帰を目指していきます。
では、細かくお話ししていきます。
急性期
この時期に大切なのは、とにかく休む事です。今まで出来なかった休息を多いにとりましょう。この時期は正直非常に辛いです。何もやる気が起きなかったり死がどうしても頭をよぎるなんてこともあります。
何もやる気が起きない時には、何もしない。死がどうしても頭をよぎり辛い時には、辛いことを閉じ込めず主治医や家族に出した方がいいです。そしてそれが出来ない場合は、紙に書くのも有効です。
この時期は薬を飲み始めた頃なので、まだ薬の効果を感じる事が出来ず「薬なんて全然効かないじゃん」と思う方が多いと思います。また、副作用に悩む方もいると思います。
ですが、すぐに効果を感じないと思い、辞めてしまうと症状が改善しないと共に内服を中断したことによる副作用も出かねませんので注意しましょう。(服薬開始から1週間目辺りで副作用が現れる事が多いですが、その後どんどん身体も慣れ薬の効果も出始めてきます)
服薬開始から、効果が出てくるのは2~3週間後と言われます。
そして、主治医やカウンセリングの先生に辛いことを隠さず話しましょう。精神科の先生は辛い事に対して話をきちんと聞いてくれます。そして、辛さに合わせた治療をしてくれますので、恥ずかしいと思わず思い切って伝えてみてください。
伝えるのが苦手だという方もそうでない方も、おすすめは日記のように生活上の辛い事や症状、薬の副作用について記録しておくことです!初めは書ける範囲で少しでも書くことが出来れば十二分です。無理はしないでください。
生活記録表例)
月/日 | 思ったこと、辛いこと | 備考(薬の副作用など) |
〇/〇 | 今日はとても身体が重い、だるい、こんな病気になってこれからどうしようと不安 | 今日は副作用のせいか少し吐き気がする |
〇/〇 | 朝起きてごはんを食べる気にならない、もう嫌だ、死にたいと思った、何もしたくない | 何をどうしていいのか分からない |
何でもよいです。思ったこと、辛い症状などをノートに書いてみると良いです。辛いことが何なのかが分かるキッカケにもなりますし、何より主治医などに分かってもらえることが大事です。そして、分かってくれる人がいると、救われます。
また、車の運転が厳しい時もあると思います。そういった時はご家族に頼む勇気も必要です。私は車の運転時に死が頭をよぎる事が多く、運転が怖い時も多々ありました。
初めはやはりいい大人が病院に連れて行ってもらうなんて恥ずかしいと思いましたが、勇気をもって父に話し、連れて行ってもらった事があります。
精神的な病気に対して理解がとてもあるわけではありませんでした。しかし、娘が苦しんでいるということは分かるからと力になってくれました。普段そんな面を見せないとしても、やはり親は心配してくれているものです。
頼ってみてもいいかと思います。また、御兄弟がいましたら、そちらにまず相談してみてもいいかもしれませんね。
急性期のゴール、回復期に進める目安
・通院、服薬を主治医の指示通りに行える。
・生活リズムをある程度作れる(夜に眠り昼頃までには起きれる。)
・週に数回は外出できる。
・少しなら家族や主治医以外の人とコミュニケーションをとれる。
・30分程度なら読書や好きな事を出来る
・デパートや公共の施設など、他人がいる場所でも数時間過ごすことが出来る
※急性期は自分がやろう!出来ると思っていることの3割程度からスタートするようにしましょう!大切なことは、休むことです!
では、次は回復期です。
回復期
回復期は安定した状態を維持する期間です。徐々に症状が落ち着いてきてやる気も急性期の時より起きます。行動も気持ちと同様に少し活発に動けるようになってきます。
ですが、この期間に焦って復職をしては危険です。再び辛い急性期に戻ってしまうことがほとんどでしょう。ですので、この期間には焦る気持ちを抑えしっかりと内服、受診をしなければなりません。
また、うつになる人の傾向的に休む事が得意ではないのでこの症状が楽になってきた期間に休んでいるなら「この機会に何かをやらなきゃ」と自分を追い込んでしまいがちです。
仕事をしていた時に出来なかったことを無理矢理やることはしないように注意してください。その行動があなたを楽しいとポジティブな方向へ向けてくれるものなら良いですが、焦りから無理に外出をするなど、資格をとる勉強をするなどの無理は禁物です。
ですが、わたしもこの期間には何かをしないといけないような気がしていました。
そこでこの期間にやってほしいことを紹介します。
回復期だからこそやっておく行動
急性期には現時点の生活記録表を書くことをおすすめしました。回復期には次のステップです!過去の生活記録表を書いてみてほしいのです。
何かをしなければならないと思うその行動欲を自身をきちんと振り返る機会として使ってほしいのです。これをやることで、復職した時やその後辛いことがあった時にうつ病の再発を予防できる物ともなります。
例)
月/日 | 行動 | 思考・感情 |
9/10 | 6時起床
①朝ご飯を急いで作り、自分は食べる時間が無く出勤
②出勤中1人好きな音楽を聴く
③昼休憩をほとんどとれなかった。 ④定時に帰れた
➄夜はゆっくりお風呂に入れた
⑥上司に理不尽に怒られたことも思いだす |
①本当は朝少しでも多く寝ていたい。
・朝ご飯を少しくらい食べたい。 ・仕事前くらいゆっくり自分の事だけやるならもう少し楽なのに。 ②仕事に行くけど意外とこの1人の時間が好き。 ・やっと少し落ち着いた、朝のバタバタ嫌~。 ・好きな音楽を聴くのはやっぱり心が癒される。 ③規則では1時間休憩なのに・・・。 ・でも忙しいから仕方ない。頑張らなくちゃ。 ・味わうこともなく食べちゃった。なんか胸やけするな~。 ④いつもは定時で帰れないけど今日はラッキー。 ・嬉しい!!帰ってから家事しなくちゃいけないのにいつも遅くなるから大変だったんだよね。 ➄いつも夜の時間はあっという間に過ぎてしまうから、シャワーで済ませがちだったけど、ゆっくりお風呂に入るとやっぱり疲れがとれる~♪ ⑥私が悪いわけじゃないはずなのに。私の何がいけないの。イライラするけど職場変えるのも大変だし。頑張って怒られないようにするしかないか。 |
初めは上手く書けなかったり思い出すことで辛くなったりするかと思います。なので1日数個からでいいです。思い出したことから箇条書きでもOKです。
この過去の生活記録表をすることの目的は、過去の自分の行動とその時の感情(我慢していた、自分の感情を言えずにいたなど。)を見つめ直すという事です。
社会復帰してからまた同じように辛い日々の繰り返しをしない為にも、自身を知りコントロール出来るようになりましょう。
すると自ずと自身がうつになってしまった原因が見えてきます。「こんなことしてたらうつになるよ!」「自分頑張りすぎ!」と気づけた時には大分気持ちも楽になります。
他人に評価される世界だとしても自分が自分のことを認め、自分の出来る範囲で頑張る事が出来ていると実感できると、他者の評価などほとんど気にならなくなります。
今まで気にしていたことが小さくも感じる日が来てくれます!そしたらもううつ病を克服したも同然です。なので、初めは思い出すことも大変かとは思いますが、何かをしないとと焦る気持ちを自身を発見する時間にしてみましょう。
次にもう一つ回復期のPOINTをご紹介します。
急性期には午前のうちに起きるという設定をおすすめしました。では回復期は初めの頃は8時までに、慣れてきたら以前の起床時間に起きれるようにすることを目標としてみましょう。
少しずつ元の生活リズムに戻していくイメージです!
回復期のゴール、維持期に進める目安
・通勤を想定した就寝、起床が8割程度出来ている。
・服薬を指示通りに行えている、薬の増量なく状態が安定している。
・食事や活動を以前と同じくらい行えている、また行える体力がついてきている。
・車の運転をきちんと行える。
・8割程度自身の振り返りを出来ている。
・ストレスの対処方法を見つけられてきた。
・人とのコミュニケーションが出来る。
・頼る事が出来ている。
主にこれらを8割程度行えていれば、次の維持期に突入です!
回復期のPOINTは上記でもお話ししたように、焦らず治療(内服や受診)を怠らない事です!絶対に自身で服薬を中断することはしないでください。
まずはこのPOINTに注意しながら自身を見つめる期間にしましょう。そしてこの時期に来たとしても不安はあると思います。不安を抱えたまま進むことをせず、主治医に相談するなどして1人で焦り進む事をしないようにしましょう。
さて、次はとうとう維持期のお話ですね。長くなってしまっていますが、最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。
維持期
この時期には大分症状も少なくなり、減薬の指示が出てきます。また、気分も整ってきている為、笑う事も増えてきます。ですが、この時期にも回復期同様に内服の自己中断はしないでください。
またこの時期にくると復職したい気持ちが増えてきます。その為復職しても大丈夫なように他者とのコミュニケーションをとる機会を増やしてみるとい良いです。ストレス対処を自身できちんと行えるかなどを判断していきます。
また、自己分析も大切ですが、「昨日友達と会ってうつになる前みたいに笑えたし、目を合わせて話すこともできました」「コミュニケーションをとってもストレスを感じなかった」など主治医にも話してみましょう。
すると主治医も復職しても大丈夫かなどを判断しやすくなります。
復職の準備が整ってきたら、仕上げです。会社で通勤訓練・試し出勤などの制度が用意されている場合は利用すると良いでしょう。人目が気になってしまったり、うつ病への認識が低い方にはもしかしたら陰口を言われるなんてこともあるかもしれません。
ですが、それを試しておくことは大事です。それらのストレスを対処出来るか、陰口などを言い返せるくらいの気持ちになれるかの判断が出来ます。試してみて本当に自分は大丈夫だと思えたら準備完了と言えるでしょう。

維持期では再出発するためにこれまで行ってきた記録などを元に自分なりに心の整理しておきましょう。
復職直前に整理しておくと良いこと
1、休職前の自身についての振り返り。(どんな場面で無理をしていたかなど。)
2、回復期に気が付いた自身の考え方のクセ、行動のクセなど。
3、体調が悪くなる時のよくやってしまっていた行動など。
4、自分が楽になれるポジティブ行動とはなにか。
5、ストレスの対処方法
6、週のどこで休息をとるか、いつどんな方法で休みを自身に与えるか。
7、復職後に意識して気を付けること。
(頑張り過ぎないように仕事中でも家でも息抜きをする(休憩する)、毎日pm12時には寝るなど。)
こちらも整理して書いておくと良いです。辛くなってきそうな時や忙しい時期、仕事や私生活に慣れてきた時期に見返してください。そうすることでも、再発予防を出来ます!
復職時に企業によっては産業医との面談があるかと思います。その際には背伸びせず、ありのままを話しましょう。この様なことでうつ病になってしまったこと、治療で取り組んできたこと、今現在の状況や不安など。
維持期のゴール
・これまでの取り組みを整理すること。
・自身の対処方法が私生活で十分に行えている。
・また復職しても行えるであろう状態である事。
・主治医から復職して良いと指示がある。
・主治医の指示での減薬や断薬をしても副作用がない。
最後に
復職する前にもう一度、「この会社に復職をするので良いか」考えてみるのも大切なことです。「休職の期限が・・・」「以前働いていた会社だから・・・」などの理由だけでスタートしようとしていたら、一度ゆっくりと向き合ってみましょう。
自分には他の選択肢なんてないと思ったり、違う職場で働くことには勇気も必要だとは思います。ですが、やりたくない事を長年やる事は他にストレスが無くても大きなストレスになります。
復職は確かに1つのゴールではありますが、再スタートでもあります。スタート位置の選択肢は何もその会社だけではないですからね♪
様々な支援もありますので、そちらも多いに活用し、今後の視野を広げましょう。
支援制度について説明した記事がありますのでご参考になさってください。
長くなってしまいました。最後まで読んでいただきありがとうございました!!
悩んでいる事などありましたら、是非一言でもコメントください。